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大空と大地の中で-1-

意を決して書いてみます。

私がずっと、どうしても書きたくて書きたくて仕方がなかったこと。

長くなるのでゆるゆる読んで頂けると幸いです。

私は100年くらい前に、蛸部屋のようなところで働いていました。

いえ、厳密には蛸部屋ではありませんでしたが

まさしく蛸部屋のようなところに宿泊していました。

詳しく書くと色々バレるから書くに書けなかったので、万一察してもあまり突っ込まないであげてください。

当時の職場の従業員は

特殊な仕事内容だったこともあり

全員くまなくキャラが特濃でした。

個性的、という表現もあまりあるおぞましい面々が勢揃いしていました。

とくに重篤な変態だったのが

従業員が呼ぶところの「出張組」です。

基本的に「日帰り組」と「出張組」に分かれていて

出張組の面々は何日も家に帰りません。

そのため、

家に何日も帰らなくて良いタフネス(及び、帰りたくない事情)を持つ者しか出張組には志願しておらず

勝手に変人ばかりが集まっていくわけです。

私も、出張組でした。

出張組はそれぞれ

2〜3人の組になり

各地に泊まり込みで仕事をします。

私は車を持っていないので

私が入る時は、必ず車持ちの人と組むことになります。

前述したように

変人揃いの出張組。

私はその会社に勤めているときに

様々な面白い人と出会ってきました。

とても濃厚な時間でした。

ちなみにその会社の社長はいつぞやの日記、ちんぽの画像を送ってきやがった人です。

ちんぽ社長前編→http://SNS.jp/view_diary.pl?&id=1939766790&owner_id=9266277&via=list_diary_history

後編→http://SNS.jp/view_diary.pl?&id=1939767225&owner_id=9266277&via=list_diary_history

沢山の変人たちを

まずはざっくりと書いていきましょう。

・他人との距離がハイパー近い、一度会ったら全員マブダチ扱い、高田純次よりも冗談しか言わない競馬と野球とミスチルが好きなバツイチ四十路

Dさん

・歌が上手く、つき合いはじめの彼女が可愛くて可愛くてもうどうしようもない23歳

Cくん

・ゴキブリのような30歳

nくん

・絵に描いたような駄目なオジサン

黙っていれば男前の56歳

ペケさん

・10年前に時が止まった男

ルパンさん

・おまけ、頼れる姉御

kさん

主に、彼らの話です。

出張中に

他にも色々な人と仕事をしてきましたが

私が書きたいのは上記の人々のこと。

まず、Dさんのことから書いていきます。

Dさんは

己の浮気により

嫁に逃げられたバツイチおじさん。

世界一可愛がっている娘さんには年に一度しか会えず

ひたすら慰謝料と養育費を払い続ける男。

5秒に一度はダジャレを言い

だれとでもフランクに会話が出来るため

私とは比較的仲良しだったと思います。

しかし、一度会ったらもう誰でもマブダチ

すぐ親分風を吹かせたがる元暴走族。

距離感の近さ、親分風をウザがる人には嫌われていました。

私は、割と、好きでした。

彼は言うのです。

D「俺。娘のためならなんだってやってやるんだ

これ見てくれ、娘から手紙貰った

今小学三年生。

…………サンタさんへ

どうぶつのもりと

にんてんどうDSがほしいです

だから俺、働くんだ」

めぐみ「…………これ、パパへ、じゃなく

サンタさんへ、の手紙ですよね」

D「まったくだよ

元嫁に、書きなさい!て言われて書いたのかもしれないよな

でもいいんだ、この手紙スッゲー大事にしてる。

元嫁から、今、年下の郵便局員と付き合ってて、半同棲してるって

娘も郵便局員になついてるって手紙きた

……………任天堂DS、郵便局員に買って貰え!ってな。

あ、屁したい」

悲しくも屁のそよ風。

Dさんに幸いあれ。

うんこと肛門の話→http://SNS.jp/view_diary.pl?&id=1879535203&owner_id=9266277&via=list_diary_history

次に、C君。

C君は歳が近かったこともあり

一番仲良くさせて貰ったと思います。

車であちこち連れて行って貰いましたし、

唯一、素で会話が出来る相手でした。

過酷な勤務中、唯一の安息でした。

Dさん含め、我々出張組の中でもいくつかの班は

ド田舎の勤務に割り当てられていました。

山と川をいくつも跨いだ向こう。

広い田畑が広がり、美しい景色の辺境。

あたりに街灯は無く、18時を過ぎると真っ暗な上、隣家までの距離は5キロ。

そこかしこが原生林で

耳を澄ますと謎の獣の足音や鳴き声が聞こえてきます。

ちょっと散歩気分で外に出たら

ばったりヒグマと顔を会わせ兼ねないようなところでした。

そんなド田舎出張班は「広野荘(仮)」という寮に宿泊していました。

広野荘、そこは

床はきしみ、壁は薄く

カメムシとクモが自由に出入りする廃屋。

一部屋は四畳半ほど。

部屋の中にはベッドと冷蔵庫のみ。

薄暗い階段の踊り場にぎっしりと並ぶ

埃だらけの剥製と謎の置物。

便所には手のひらサイズのザトウムシ。

一階にある風呂は、長い間湯船に湯を溜めた形跡は無く

常に数匹居るヤブ蚊。

きっとぼうふらがわいているのでしょう。

辛うじてベッドメイクだけは入居の際に大家さんがしてくれるけれど

一晩どころか一秒たりと居たくない最悪の環境です。

頼れる姉御、kさんは

「トイレに幽霊がでる」と言い残し

割り当てられた部屋をバックレ、一人ビジネスホテルに泊まっていました。

いいえ、トイレではありません。

廊下に女の幽霊がずっといます。

そんな広野荘に私は

最長、17日間連続で宿泊しました。

これは従業員中、広野荘最長宿泊記録でした。

私の奇行は社内でも有名でした。

あんな廃屋に17日間も泊まるなんて、

さいわい村さん、一体どんな事情が…とんでもない変人に違いない。と。

実際は、帰れる中日に熱を出して帰るタイミングを失っただけのことでした。

幸いにも、幽霊も昆虫もへっちゃらのため

ジッとして居れば時間は経つし

心を無にして仕事をすれば良かったのです。

しかし

広野荘には我々の会社の者以外に

ずっと住み込んでいる男がおりました。

広野荘は、全部で7部屋。

我々の会社の者はメンバーが入れ替わりながら

常に3〜5人宿泊していました。

勤務時間は大体同じなので、帰宅時間も1時間の差程しかありませんでしたので

広野荘でもよく顔を合わせていました。

しかし、ある一部屋。

私が毎回使っていた部屋の向かい側に

1人のオヤジが住み着いていました。

そのオヤジは

どうやら近隣の工事現場の作業員らしいのですが

どんな時間帯で動いているのか全く解りませんでした。

ただもうずっと長いこと広野荘に潜伏しているらしく

広野荘のヌシのような存在でした。

誰も彼の名前を知らないので

我々は彼を「あのオヤジ」と呼んでいました。

彼は長く住んでいるだけあって広野荘の構造に詳しく

物音に敏感で

廊下での話し声やドアの開け閉めの音を猛烈に気にしていました。

私が初めて宿泊した時にもそのオヤジから

「廊下で話すと部屋に全部声聞こえるんだ

廊下はゆっくり静かに歩いてくれな

足音もドカドカすっげぇから。

あとはドアな、ばーん!とやるのやめてくれや」

注意事項を説明されました。

突如「アンタもこんなとこ泊まって大変だな、腹減ってるだろ」とカップラーメンをくれたり

私とオヤジはまずまずの関係を築いていましたが

前述したC君は

オヤジに物凄く嫌われていました。

元気さ有り余るC君は

何度注意されても廊下をドタバタ歩き

大声で話をし

ドアをばーん!とするのを気を付けなかったそうです。

C君から聞いた話です。

ある日仕事を終え

いつものように廊下をドタバタ歩くと

堪忍袋の緒がブチ切れたオヤジが部屋からヌッと出てきたのだそうです。

オヤジは上半裸でした。

その手には日本刀が握られていました。

スラァッと日本刀を抜いた姿は

やけに絵になっていた、とはDさんの証言。

オヤジ「コラァアア!!!!何度言ったらわかるんだぁぁぁ!!!!」

C「!!?すんません!!!!!」

すぐに逃げたそうです。

後にC君は言います。

C「あのオヤジやべーよ、アタマおかしい。

やばいオヤジが住んでる」

しかしDさんはあっけらかんと言いました。

D「いや、あのオヤジけっこう良いオヤジだよ

話すとなかなか冗談解るひとだよ

洋楽とか好きで部屋中いっぱいポスター貼ってんだ」

めぐみ「!!?

え、Dさん、あのオヤジとも仲良くしたんですか!?流石です!!!」

D「いや〜、誰でも実際話すと良い人だよ」

流石Dさん。

しかしこの後、私は

オヤジに関して

更なる体験をすることになるのです。

つづく